2012年12月28日金曜日

2012年末の書評紙で『脱ニッポン記』が今年出た注目書籍に選ばれています。


週刊読書人』12月14日「39人へのアンケート」
「2012年の収穫――こんな本もあったのか! まだまだ読みたい、この一冊。」
井家上隆幸(いけがみ・がかゆき氏=評論家)
 制度化された支配的なシステムや価値観が忘却の奥深くに〝地層処分〟してしまった人間の精神的いとなみ、原発震災が地表によみがえらせたそれのゆたかさを、北海道から沖縄まで、列島各地で積み重ねられてきた地道な記録や、本を手がかりに思索し、事件の痕跡をたどり、表現者たちの話を聞き一つの場所を別の場所へとつなげて編んでいった「列島精神史」、米田綱路『脱ニッポン記』(上下、凱風社)は、自由を求める精神の鼓動と魂の振動を、その旋律を奏でて、現在への無力感から怠惰に墜ちるわたしを痛撃した。世の批評家諸氏はなぜに本書と格闘せぬのか。





図書新聞』12月22日「'12年下半期読書アンケート」
中村邦生=作家
①米田綱路『脱ニッポン記――反照する精神のトポス 上・下』(凱風社)
 書物を携え、かつ書物に促されて人に会い、現場をたずね歩く著者の言う〈書評的思考〉からこれまで多くの考えるヒントを得てきたが、ここに豊かな成果が加わった。北海道空知の旧産炭地にはじまり、沖縄をへて核関連施設の建ち並ぶ本州最北端の地に立つまで、列島の各地にひそむ歴史的記憶と命の在処を問う「今」を穿つ書だ。その冷静な思索の営みに、ときとして孤影を曳く気配があって、ふと耳を澄ますような気分にもなった。



●詳細は→『脱ニッポン記』()(